はしづめ明子 日本共産党逗子市議会議員
はしづめ明子 日本共産党逗子市議会議員はしづめ明子 日本共産党逗子市議会議員

「米軍住宅ゴリ押し」に住民怒る

 神奈川県の逗子市と横浜市にまたがる米海軍・池子住宅地区の横浜市部分(同市金沢区)に米軍住宅800戸を追加建設する問題で、横浜防衛施設局が10月31日、横浜市の照会に対して回答を出しました。それは、米軍基地の無条件返還を求める横浜市の考えを無視するもので、住民からの怒りの声があがっています。(神奈川県 岡田政彦記者)

横浜市の基地返還照会に国回答

 ことの発端は、日米協議で今年7月18日、横浜市内の4基地(上瀬谷通信施設、深谷通信所、富岡倉庫地区、根岸住宅地区)の返還として、池子への米軍住宅の追加建設で「認識が一致」したことに始まります。

市民の願いに背を向ける

 横浜市の横浜防衛施設局長に対する照会文書は、9月11日に提出されました。同文書は米軍施設の「早期全面返還」という横浜市の基本姿勢を示し、「無条件での返還が原則」との考えを表明しました。

 しかし、施設局の回答は横浜市の要求に背を向けるものでした。「日米安全保障条約の目的達成」のため、米軍増設と施設返還は「一連の案件」「一括して処理すべきもの」と表明。県内の米軍住宅の不足数を「千数百戸」とし、増設800戸のうち、根岸からの移転分を除く新規400戸は、「必要最小限のもの」だと協調しています。

富岡、深谷、上瀬谷の3基地遊休はもはや事実

 横浜市議会・接収解除促進特別委員で日本共産党の柴田豊勝議員は「国の回答は、まったく許しがたいもので、この論理で当面の建設を認めれば、さらなる米軍住宅建設を求められかねません。米軍が横須賀を母港とする空母機キティホークを2008年に原子力空母に切り替える動きと重ねると、住宅建設がとめどなく広がる危険があります」と指摘します。

 回答は富岡、深谷、上瀬谷の3基地について、遊休化の実態を無視して「使用されている」「将来の住宅等用地の候補地」などと米軍いいなりの説明をしています。

 しかし、深谷通信所は電力消費量が激減し、富岡倉庫地区は空き地同然。上瀬谷基地も1990年代以降、アンテナが次々と撤去され、今年5月には、基地間連絡用のパラボラアンテナのための鉄塔も撤去され、3基地が遊休化していることは歴然とした事実です。

7月の日米協議では、上瀬谷基地は「一部返還」とされ、民有地と市有地部分の返還が協議の対象になっています。

 一方、米軍は、同基地の国有地部分に米軍住宅約600戸を建設する計画(1994年)をもっており、上瀬谷を将来の住宅建設の「候補地」と明記した国の回答は、池子だけでなく、上瀬谷への米軍住宅建設にも含みを待たせています。

逗子市民も「ノー」の審判

 米軍住宅追加建設問題をめぐっては、すでに逗子市の長島一由市長が、国、県、逗子市の三者合意(1994年)をくつがえすものだと抗議。「市民に信を問う」として辞職、9月の市長選挙に立候補。市民は長島市長を支持して再選し、米軍住宅増設「ノー」の審判を下しています。

 横浜市に米軍住宅建設反対、遊休基地の無条件早期返還の要請署名を提出した金沢区革新懇の田村登事務局長(64)は「金沢区でも多くの住民が米軍住宅反対の声をあげている。それを無視した国の回答に強い憤りを感じます」と話し、「住民は、緑と環境の破壊、交通・治安問題などに非常に不安を感じています。中田市長は、米軍住宅建設にきっぱり反対の態度をとってほしい」と求めます。

9月17日、上瀬谷基地に唯一残っていた米海軍の哨戒偵察部隊司令部が、米軍三沢基地(青森県)に移転することが明らかになり、10月7日に指揮権が移りました。

 そのため、横浜市は10月20日に追加照会を横浜防衛施設局長に提出し、「返還施設、返還面積の拡大可能性」について問いただしています。柴田議員はいいます。「日本共産党は、遊休基地の即時無条件返還を要求し、池子への追加建設、原子力空母配備を許さず、根岸住宅地区の早期全面返還を求め、全力をあげます」                (しんぶん赤旗11/13付より)