はしづめ明子 日本共産党逗子市議会議員
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八王子市 中学校給食(デリバリーランチ)と市民協働について

  5月30日、日本共産党議員団と加藤議員(無所属)の三名で、八王子市の①中学校給食の実施状況、②市民協働の取り組みについて視察を行ないました。

(写真 30日の給食、視察では試食しました。)

1.中学校給食について 

(●担当 学校教育部付主幹・保健給食担当 山野井 寛之氏)

 平成21年4月からデリバリーランチ方式(弁当併用)による中学校給食を実施しました。八王子市の実施に至る経緯では、昭和44年に請願採択されましたが十分な検討もさせずにいました。

その後、昭和60年1月に再び検討が開始されながらも、平成2年に実施困難と判断されていました。しかし、平成3年に改めて請願が採択されます。平成4年に意識調査、5年に学校現場の意見集約、6年に研究会発足、8年に検討委員会設置、10年に報告書提出、平成11年から3年間にわたり1校で弁当併用デリバリーランチ方式を試行されましたが、実施に至らずに終わっていました。

 再び、平成19年に1万人の要望書が提出され、意見を伺う会を二回開催、年末に行政の経営会議が実施を決定、20年に行政内部で作業開始、21年4月に全校で実施されるに至っています。

 八王子市は、中学校37校(高尾山学園除く)で全中学校で実施、4エリアを二社が受託(立川市・相模原市の業者)、委託費は約2億8000万円、内訳は調理・運搬・配膳含めて1億7700万円、給食費徴収システムの借上費2100万円、その運営費2200万円、1食あたり305円~351円、食材費の保護者負担は300円を徴収しているということです。

 徴収方法は、まず利用者登録し、一か月単位、6600円(半年も可)でコンビニで払い込み(別途手数料は100円)、さらにインターネットや携帯で申し込む方法(マークシート式も可)をとっています。厚労省は700食を超えた場合、ランチを一度20度以下に冷まさせることを求めているため、調理方法に工夫と改善が必要になっています。市の中学校給食担当の栄養士は3名を配置、業者への献立や調理の指示を行なっています。

  利用している生徒は約二割前後(2500人前後)にとどまっています。ただし、八王子市は小中一貫校が四校あり、その内三校で自校方式を取り入れていますが、八割が利用する状況です。デリバリーランチの取り組みは、行政の一時的な財政負担の軽減にはなっても、子ども達が願っている学校給食とは大きな相違が生まれているようです。数字の上では受け入れられていない現状があるようです。そのため改善の一つとして平成23年から汁物(写真 汁物容器と保温箱)を月6回提供を始め、カレーもできるようになって歓迎されています。アレルギー対応では小学校給食のような除去食はできないということです。逗子市の場合も、デリバリーランチが導入が予定されていますが、本当に子ども達の願い、食育を考えるならば、自校方式又は親子方式を再度検討し直すことも必要ではないでしょうか。

  2.市民協働事業について

(●担当  市民活動推進部 協働推進課長 松岡秀幸氏)

   八王子市の市民協働事業は、8事業に分かれています。今後の課題として補助金制度の見直し、市民協働の条例化を行ない制度を担保することと説明を受けました。

 活動の担う団体としてNPO法人「八王子市民活動協議会」を発足させ、市民活動センターの指定管理者として、管理運営をさせています。とくに市民企画事業への補助金制度(要綱)をつくり、6名の外部委員で構成する審査委員会が事業内容を審査、市民も傍聴できる公開プレゼンティーションを行ない、市長へ可否の意見書を提出、市長が最終的な決定を行ない、この間、審査の意見書をすべて尊重されています。

 審査の客観性を担保する上では、審査シートが作られ、補助金の「活動支援部門」について言えば①公益性、②期待度で点数がつけられます。補助金の「事業実施部門」では、①計画性、②社会貢献度、③ニーズの高さ、④創意工夫に分かれ、審査されることになります。

 この制度は、市長の恣意的な判断が排除され、審査委員も市内活動団体の関係者を意識的に除いた部分があるということです。市民からの企画提案が市長に近い関係者であったりしても、第三者が審査を行なうことで、誤解もされず、制度の透明性と公平性が担保されています。行政の在り方として大変参考になる制度です。